さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。
今回取り上げるのは『赤い相撲-愛のどすこい伝説-』
かつてコンパイルがリリースしていたディスクマガジン「ディスクステーション98」の#6~8に連載されていたゲームです。
この謎の相撲ゲーの主人公は一見普通の女の子・由美。好きな男に告白しようとラブレターをしたためる純情な娘さんです。
変わっているところは緊張するとついつい四股ふんじゃうくらいでしょうか。
しかしながら告白は上手くいかず、相手には「俺の最初の恋人は相撲をやっている女の子って心に決めてるんだ。ごめん」と断られてしまうのです。
……。
とりあえず主人公の説明を優先するためにツッコまずにいましたけど、ここまででもうかなりおかしいですよね?
緊張すると四股ふんじゃうってどういうことなの。しかもこの子惚れた男の目の前でもいっぱいいっぱいになって四股ふみますからね。ちなみに彼女が勇気を出したいときに心の中で唱える呪文は「どすこいどすこい」ですってよ。
そーら、これが女子〇生のシコGIFですよ。って書いといてなんですが、字面だけやたらエッチで自分でも困惑します。しかしながら説明としては合ってるもんだから、字面と絵面のギャップがあるんだかないんだか不思議な感じに。
▲正しいコマンドを選ばないと話が進まないので、由美が惚れた男の前でシコふんじゃうのは定められた運命です。
ここまでなにもかもおかしい作品もなかなかないんじゃないでしょうか。コマンドのフォントも取組表みたいですし。黙ってましたけどなんならタイトルからしておかしいですもんね。愛のどすこい伝説って何なんだ。
しかしながら、なにもかもおかしい話に作中の誰もツッコまない、それが本作なわけです。
第1話のあらすじが中途半端だったので補足しますと、先ほど書いたとおり由美がラブレターを相手に渡すところから始まり、
チカンに襲われ、
身体が勝手に相撲技を放ってこれを迎撃。
己に流れる相撲の血に畏怖する由美であったが、惚れた男の理想となるべく相撲アカデミー入学を決意するのだった。
といった感じですね。
本作には色々と伏線・設定があり、
- 由美の父はかつて相撲の神と呼ばれた男だったが、取組中になにかあって殺人容疑をかけられた
- この件が原因で由美の妹は記憶喪失になっており、母は相撲自体を嫌っている
- 由美の想い人である牙雄は、身内を由美の父のせいで喪っている
- 牙雄は由美に入学を勧めた相撲アカデミーの御曹司
- 牙雄が由美に近づいたのは復讐のため。由美を相撲の世界に引き込み、妹に打ちのめさせようと企んでいる
これだけを読むと、「なーんだ、相撲ネタを省けばなかなかまともな物語ぢゃないか」と騙されそうになります。
しかしながら本作はディスクマガジンにちょっと入っていただけの物語なので、1話ごとがかなり短く、3話で終わりを迎えたためこれらのお話にはろくに触れられないままなんですよね。
途中からなぜか力士ロボが登場し、再度出現したチカン男(相撲アカデミーのライバル校の校長)が操るロボと決着をつけたところで本作は終わりを迎えます。ほんとにどうしてこうなった。
▲女学生が制服の上からメカニカルなまわしを装着する図。
見事なまでの打ち切りエンド。決まり手はうっちゃりといったところでしょうか。
第2話が収録されたディスクマガジンに「ヘンだ!なんてヘンなんだ!これがかずなりだ!」と書かれていたのでクレジットを確認したところ、企画・脚本は猫庭王米光(米光一成)であるとのこと。彼は魔道物語1-2-3や初代ぷよぷよの企画にも携わっていらしゃった方なので、知ってみればこの破天荒な作品が意外でもない作風に思えてきますね。これがコンパイル節というものなのかしら。
個人的にはこの作品は決して嫌いではなく、投げっぱなしエンドなのを含めて笑えると感じました。同じコマンドを繰り返し選ぶ展開が多く正直テンポはよくないので、難点があるとすればそこくらいでしょうか。そもそも作中で一度も相撲取っていないだとか細かいことが気になる人はモヤモヤしちゃうかもしれませんが、「最近疲れているんでなんでもいいから笑いたい」という方に向いていることでしょう。プロジェクトEGGにて全話無料配信されているので、気になった方はプレイしてみることをおすすめしますよ。
それでは、今回はこの辺で。また次回もよろしくお願いいたします。